ローコードアプリプラットフォームを活用したDevOps組織が、スピード感ある問題解決文化の強化に貢献する

ビジネス主導のアプリケーション開発と改善の仕組みを構築するため必要なものとは

要旨

  • ローコードアプリプラットフォームは、ビジネス主導のアプリケーションを構築するためのツールである。
  • 最小限のコーディングとIT部門の関与でビジネス・ユーザーが直接管理できるアプリケーションを構築できる。
  • より迅速に目下の課題に対して打ち手を打つことが可能になり、既存のレガシーシステムを手を入れずに改善する可能性がある。
  • 迅速かつ効果的な問題解決が期待でき、組織内に問題解決文化を組み込み、IT部門との協力を得ながらスケールアップすることで、企業としての問題解決能力を向上させることができる。

はじめに

テクノロジーは我々の生活の中に深く入り込み、顧客(ここでの顧客とはお客様としての顧客だけでなく、従業員や市民などいかなるサービスを享受するもの)にとってなければならない存在となっています。携帯電話のアプリケーションを一つを取ってみてもわかる通り、生活の中はデジタルテクノロジーで成り立っているといっても過言ではありません。

そしてこれら生活を支えるテクノジーは日進月歩でものすごいスピードで発展しているとともに顧客のニーズも多様化・高度化しており、その流れに企業がついていけるかどうかが問われているのが現代です。

顧客や企業の抱える問題の変容も激しく、立てたビジネス仮説がいつまでも有効かどうか分からない、そのようななかで、サービスを提供する組織では、それぞれの戦略実現を支える新しい形態のアプリケーションを必要としています。それは毎日発生する問題とニーズに応えるためのアプリケーションであり、これが欲しいと思ってから要件定義を進めて、IT部門やベンダーに開発を依頼して、テストしてから使用を開始するようなアプリケーションではありません。

ローコードアプリプラットフォームは、このような環境変化の激しいなかでビジネス主導のアプリケーションを構築するためのツールとして登場しました。ローコードアプリプラットフォームは、最小限のコーディングと最小限のIT部門の関与でビジネス・ユーザーが直接管理できるアプリケーションを構築できることを主眼に置いているため、より迅速に目下の課題に対して打ち手を打つことが可能になります。

長年のアプリケーション開発によって生み出された岩盤のように凝り固まり、手を入れるには複雑すぎるレガシーシステムの枠組みを打ち破る可能性がローコード開発ツールにはあります。それは既存のレガシーシステムに手を入れずに、それを土台に必要な機能を付け足したり、UI/UXを変更したり、大事な情報だけ参照したりすることが出来るようになるからです。

このようなアプリケーション開発を導入すれば、迅速かつ効果的な問題解決への糸口が見いだせます。さらに、このビジネス部門主導のアジャイル問題解決は、問題解決文化として組織内に組み込むことができ、IT部門との協力を得ながらスケールアップすることで、企業として大きな問題解決能力をビジネス部門が保有することにつながります。

テクノロジーは、切っても切り離せないものであり、人的資本力だけで問題を解決する時代ではなくなった。

前述の通り、テクノロジーは、顧客、患者、従業員、市民など、さまざまな人々にとってなくてはならないものとなり、組織は顧客により密にオンライン・オフラインで接触し、サービスをより迅速に提供できるようになりました。その結果、顧客はサービスプロバイダーにますます多くのことを期待するようになりました。例えば、医療、金融、eコマースなどの分野では、アナログだったビジネスプロセスのデジタル化が昨今大きく進み、待ち時間が少なく、取引の透明性が高く、よりパーソナライズされた経験を提供できるかが、顧客に選ばられる要因となってきています。

しかし、これは同時にサービスの複雑さが増しているとも言えます。サービスを効果的かつ効率的に提供するために、組織は、顧客のニーズに対する適切な価値を迅速に提供できるようになる必要がある、ということです。

戦略実現を支える・問題解決を出来るアプリケーションをどれだけ提供できるか 

組織は新たな課題とチャンスに直面しています。

顧客、特にコンシューマー向け市場の顧客は、サービスプロバイダーに対してより多くのことを要求してきています。顧客は、よりパーソナライズされ、カスタマイズされた体験と、いつでもニーズに応えられるサービスを求めています。

企業は、このような新しいサービスを迅速に提供できるよう、俊敏性と柔軟性を備える必要があり、そのためにはアプリケーション開発に対するまったく新しいアプローチが必要です。

要件定義からシステム設計、実装、テストと何か月もかけて構築する従来型のアプリケーション開発とは異なり、ローコードアプリプラットフォームは、数ヶ月単位ではなく数日、あるいは数時間でデプロイ可能なアプリケーションを実現します。

従来型のアプローチを否定しているわけではなく、迅速に対応すべき課題に対して、迅速に対応できるようになる手法として、ローコードアプリプラットフォームを活用した開発体制というものを組み込む方が企業/組織としては強いだろう、ということです。

ローコード開発プラットフォームは、ビジネス・ユーザーがアプリケーションのカスタマイズや保守を行いやすい環境と提供することで、変化する顧客のニーズや新しい課題への対応だけでなく、同一プラットフォームで作成されたアプリケーションはメンテナンスコストを長期的に削減することに寄与します。

ビジネス主導のアプリケーションを構築するためのツールとして、ローコードアプリプラットフォーム

このようなビジネス主導のアプリケーションを構築するためのツールとして、ローコード・アプリ・プラットフォームが登場しました。これらのローコードアプリケーションは、使いやすく、保守が簡単で、迅速に構築することができます。ビジネス・ユーザーは、コーディングの知識がなくても直接アプリケーションを開発・利用ができるため、顧客の課題解決、ひいては組織の目標達成をより迅速に行うことをサポートします。

また、ローコードアプリプラットフォームは、柔軟性と拡張性に優れているため、あらゆる業界で効果的に使用できるマイクロサービスベースのアプリケーションを構築するのに適しています。

基本的にローコードアプリプラットフォームは、複数のテクノロジーをサポートするように構築されているため、企業は自社のビジネスですでに使われている技術をインポートしたり、参照したりすることが一般的に可能です。また、プリセットで組み込まれた機能コンポーネントや外部アプリケーションとの統合機能が用意されているため、ユーザーはコーディングの知識がなくても、欲しいと思っていた機能を実装出来ます。

最小限のコーディングと最小限のIT部門の関与=開発の高速化

ローコード開発ツールの目的は、ビジネスユーザーがITの関与なしに、あるいは最小限の関与でアプリケーションを構築できるようにすること、そうすることで新しいアプリケーションの開発と展開を迅速に行うこと、そして企業がテクノロジー資産をより柔軟にコントロールできるようにすることです。

そのため、ローコードアプリプラットフォームの多くは、ビジュアルデザイナーの上に構築されています。開発者は、コードを書くことなく、プラットフォーム内のライブラリからドラッグ&ドロップ機能を使用して、コーディング・スキル(または技術的スキル)なしでアプリを構築することができます。

ビジネスユーザーが直接、素早く構築でき、メンテナンスが容易なアプリケーションがもたらす価値

構築したアプリが需要を満たさない場合、アプリの修正や再構築を迅速に行うことができるということは、ビジネス部門はIT部門からのアプリの納品や修正を待つ必要がなく、お客様の要望や問題に瞬時に対応することができる、ということです。ビジネス部門が自分でアプリを扱えるようになると、とっさの問題に対して即座に対応できるようになり、働き方がこれまで要件ベースのIT開発から脱却し、問題解決をベースとしてIT開発へと変化していきます。

触れないと思っていたレガシーシステムを再活用するためのローコード開発プラットフォーム

ローコードアプリプラットフォームを持つ組織は、レガシープラットフォームの上にローコードアプリケーションを構築することができ、稼働中のレガシーシステムに影響を与えることなく、新しいアプリケーションを開発することが可能になります。

既存レガシーアプリのビジネスロジックを変更することなく、むしろそのロジックを活用し、不足した機能や分断された機能を取り出すようなアプリを構築することで、使いにくくなったレガシーシステムを再活用できる事例が生まれてきています。

この活用スタイルは、従来であればレガシーシステムの複雑なコード体系を変更するために発生する潜在的なリスクだけでなく、そこにかける膨大な人的工数と金額的な負担を回避することになります。

これは何を意味するのでしょうか。

ローコードプラットフォームでは、すべてをゼロから作り直すことなく、既存のシステムをベースに構築するという活用の仕方ができるため、新しい機能をこれまでよりも迅速に提供できるようになったということです。

その結果、迅速かつ効果的な問題解決をアジャイルで実現することができるのです。

問題解決能力が高い組織は結果として顧客に選ばれ、ビジネスがせいこうすることになります。また、問題解決能力が組織の成否を決める重要な役割を果たすのであれば、問題解決能力を高めることを企業文化とすることはことさら重要になります。企業はチームや組織の中に問題解決の文化を根付かせるべきであり、それをサポートする仕組みやツールの提供が今後ますます重要度を増していきます。

ローコードアプリプラットフォームは、企業がアジャイルソフトウェア開発手法を導入する際に役立ち、これまで以上に効果的かつ迅速に問題を解決する能力を高めることに貢献するでしょう。

さらに、この文化は組織内に組み込むことができ、必要に応じて迅速に拡張することができます。

問題解決能力が高い組織は、問題解決志向の文化だけでなく、実践的な解決方法を有しています。この文化は、高速でアプリケーションを構築することを可能にするローコードアプリケーションプラットフォームが支えることでしょう。アジャイルで迅速かつ効果的な問題解決が可能となり、それが組織内の働き方に伝播し、それが有効であれば組織自体をスケールアップすることができるのです。つまり、このサイクルが繰り返されることで、あらゆる面での生産性が向上していくことが見込まれていくのです

ローコードアプリプラットフォームによるDevOpsチームにより、テンポの速い問題解決文化を実現

ローコードアプリプラットフォームは、こうしたビジネス主導のアプリケーションを構築するためのツールとして台頭してきました。ローコード・アプリ・プラットフォームによって、組織はDevOpsチームを構築し、迅速な問題解決文化を根付かせるように変化してきています。

企業はローコードテクノロジーを利用することで、アプリケーション(およびソフトウェア製品)開発へのアプローチを変えつつあります。これは、組織が常に最高のパフォーマンスを発揮するために必要な、最小限のリソースで問題を解決する文化にシフトするのに活用されています。

結論

高品質なソフトウェアへの需要が高まり続ける中、開発サイクルの短縮と問題解決能力の向上が不可欠です。ローコードアプリプラットフォームは、開発者が新しいアプリをより速く構築し、既存の製品を改善するのに役立ちます。

ローコードアプリケーションプラットフォームの助けを借りて、DevOps組織は、ビジネスニーズを満たすアプリケーションを迅速に構築し、展開することで、顧客の問題に真正面から迅速に立ち向かい解決していくトレンドは今後主流になっていくことでしょう。